今の延長線にある未来を想像してしまう夜

窓辺の柔らかな光の中で、両手で白いマグカップを包む女性の手元のイラスト
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招待状の通知で比べてしまい苦しくなる夜

窓の外の灯りを、ぼんやり見ています。
ビルの赤い点滅とか、
遠い車のヘッドライトとか。

今日はそればっかり見てしまう。

相づちは少ないよ。
うん、そうだね、くらいで。
言葉が追いつかない夜があるから。

スマホの画面だけが、やけに明るい。
そしてね、気づいたら――去年と同じ
検索履歴を、また開いている夜なんだ。

「結婚 いつする 不安」
「出産 友達 焦る」
「周りが先に進む 置いていかれる」

消してたつもりじゃない。
忘れたかったわけでもない。
でも、画面って残るんだよね。

時間が進んだ“証拠”が、
そこに貼りついたみたいに。

進んでいないのに、
消せない痕跡だけがある感じ。

今日の具体的な悩みをひとつだけ。
たとえば、友だちから届いた
結婚式の招待状の通知。

あれって、悪い知らせじゃないのに、
胸がきゅっとなることがある。
嬉しいはずなのに、喜びきれない。

あなたが冷たいわけじゃない。
祝えない人じゃない。
そうじゃないのに、心が乾いていると、
うまく息が入らないんだ。

そして“比較”は、だいたい音もなく始まる。
招待状の通知をタップした、その一瞬。
指が画面に触れた、
その瞬間だけで、もう始まってる。

「私は?」って。
「私だけ、スタート地点に置かれたままじゃない?」って。

落とし物みたいに、忘れられた感覚。

ちゃんと生きてきたのに、
誰かの世界の片隅に
置かれたままの気がする。
事実はそうじゃないのに、
感覚がそう言ってくる夜があるんだよ。

比べてしまう自分を、責めなくていい。
責めたって、乾いた心は余計にきしむだけ。

今夜はね、「比べる物語」
が走り出した“その瞬間”だけ、
そっと止めてみよう。

止められなくてもいい。
止まらなかった夜があってもいい。

だけど、始まった瞬間を描けると、
引き戻されにくくなる。ほんの少しだけね。

動けないのは怠けているからじゃない夜

あなたが動けないのは、
やる気がないからじゃない。
根性が足りないからでもない。
愛されない人だからでもなかった。

むしろ逆で、ちゃんと感じているからなんだ。
「この先が怖い」っていう感じ。
「もしこのままだったら」っていう感じ。
その感じを、ちゃんと受け取ってしまうから、体が固まる。

周りが「結婚」「出産」
って次のステージへ進むとき、
自分はまだ何も変わっていない
ように見える。見えるだけなのに。

何もしていないわけじゃない。
笑って、働いて、約束もして、
ちゃんと暮らしてる。
でも、夜になると、昼に閉じていた
引き出しが勝手に開くでしょう。

そこで頭の中がこうなるんだよ。

  • 「私は遅れているんじゃない」
    って言いたいのに、言い切れない
  • 「私は大丈夫じゃない」
    って言いたいのに、言えない
  • 「頑張ってないわけじゃない」
    のに、頑張り方が分からない

ね、否定の言葉ばかりになってしまう夜。
〜じゃない、〜ではなかった、が増える夜。
それはあなたの性格が暗いからじゃない。
心が乾いていると、
言葉はまず“守り”から出てくるんだ。

それにね、あなたはたぶん、ずっと見守ってる。
「失敗しないように」
「恥をかかないように」
「もう傷つかないように」

だから、簡単に動けない。
すぐ飛び込めない。
勢いで決められない。

それって、弱さじゃない。
慎重さなんだよ。

そしてもうひとつ。
比べる癖って、
あなたの意思で始まったものじゃないことが多い。

たぶん昔どこかで、

比べないと置いていかれる気がした。
比べないと価値がなくなる気がした。
比べないと安心できない時期があった。

だから今、招待状の通知ひとつで、
スイッチが入ってしまう。
「おめでとう」の横に、
「私は?」が勝手に並んでしまう。

ここで大事なのは、
無理に前向きにならないこと。
「気にしない」って言い聞かせないこと。

気にしないふりは、
乾いた心には水じゃない。
むしろ砂を増やすことがある。

今日は窓の外ばかり見ている人として言うね。
外の灯りは、あなたを責めない。
ただ点いて、ただ消えて、
ただ遠くで動いてる。

あなたの人生も、本当はあれに近い。

誰かのスピードと比べて進むものじゃない。
比べるために生きてきたんじゃないんだよ。

占いは自分を変える強制じゃない夜

雨上がりの朝、濡れた道に朝焼けが映る中、傘を手にひとり歩く女性の後ろ姿のイラスト

占いの話を、ここでさせてね。
でも、未来を当てる道具の話じゃない。
怖がらせる話でもない。

占いって、「自分を変えるための強制」ではなく、
「今のままのあなたで、
どう輝けるかを探るためのファッションショー」
みたいなものだと考えてみてほしいんだ。

ねえ、あなた。
「もっと社交的にならなきゃ」って、自分に言ってない?
「もっと尽くさなきゃ」って、今の自分を否定してない?
でもそれ、本当に“あなた”の声だったかな。
誰かの正解を着せられてないかな。

占いはね、無理なダイエットみたいに心を削って、
別人になる場所じゃない。

削らなくていい。
削ったら輝く、なんてことでもなかった。

生まれ持った“素材”ってあるでしょう。
不器用さ。慎重さ。
考えすぎる癖。人に合わせすぎるところ。

それを「欠点」って決めつけるのが早すぎるだけで、
実はそれが魅力の形になっていることがある。

占いは、そこを言葉にしてくれる時があるんだ。

「あなたのその不器用さこそが魅力なんですよ」って。
「派手に目立たなくても、
静かに信頼される星回りですよ」って。
「すぐ決断できないのは、
ちゃんと見ているからですよ」って。

未来を言い当てられなかったら意味がない、じゃない。

一発で当たらなかったら失敗、でもない。

占いを受けたからといって、
明日から別人になれないのは当然だし、
別人になる必要もない。

ここであなたに渡したいのは、
結果じゃなくて、“着こなしのコツ”なんだ。

同じ素材でも、着こなしで雰囲気が変わるでしょう。
あなたはあなたのままで、どんな色が似合うか。
どんな距離感が楽か。
どんな場所だと息がしやすいか。

そういうのを、照らす灯りとして占いを使う。
強く引っぱるロープじゃなくて、照明。
命令じゃなくて、提案。

あなたを急かさない形で、ね。

分からないまま眠ってしまっていい夜

最後に、今夜の終わり方をひとつだけ。
行動の話じゃないよ。
やることリストでもない。
大きく変える話でもないよ。

ただ、画面に残っているものを、
そっと見つめるみたいなこと。
去年と同じ検索履歴を開いてしまった夜に、
「私はまた同じだ」って決めつけないこと。

同じ履歴を開いたっていい。
戻った夜があっていい。

消せない痕跡が残っているのも、
悪いことじゃない。
それはあなたが、ちゃんと生きてきた証拠だから。
考えてきた証拠だから。

そしてね、分からないまま、
眠ってしまっていい夜がある。

分からないまま寝たら、
負けじゃない。
答えが出ていないからって、
置いていかれるわけでもない。

眠っている間に、
心の乾きが少しだけやわらぐことがある。

朝になったら何かが解決している、
なんて保証はない。
けれど、夜の中で自分を責め続けるより、
眠ってしまうほうがやさしい時があるんだ。

もしできるなら、
ひとつだけ小さな問いを。
答えは出さなくていい。
言葉にならなくてもいい。

「私は、どんな自分を“直さなきゃ”と思ってる?」

“直さなきゃ”って思った瞬間が、
比較の始まりに近いから。
そこが見えたら、引き戻されにくい。

今日止めたいのは、人生じゃない。
あなたの未来じゃない。
比較が走り出した、その瞬間だけ。

窓の外の灯りは、まだ点いてる。

今日のあなたを評価しないまま、
ただそこにある。
だからあなたも、
今夜の自分を評価しなくていい。

分からないまま、眠ってしまっていい。
その夜があること自体が、
あなたを守るやり方になるからね。

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