まだ決められないまま、確かめる場所を探す夜
気づいたらね、
数日ぶんの夜が、
静かに積み重なっていた。
特別なことは、何も起きていない。
朝は起きて、
いつもの支度をして、
一日をちゃんと終わらせている。
それなのに、
心の位置だけが、
最初に立っていた場所から
一歩も動いていない感じがする。
昨日も、
その前の夜も、
同じ不安を同じ角度で抱えたまま。
誰かとぶつかったわけでもない。
何かを失ったわけでもない。
それでも夜になると、
「私の人生なのに、
私は横に座っている気がする」
そんな感覚が、
そっと戻ってくる。
ハンドルは目の前にあるのに、
手を伸ばしていない不安だけが残る。
たとえばね、
彼が「今は余裕がなくて」
と口にするたび、
結婚の話は
ほんの少し先に置かれる。
別れると決めるほど、
何かが壊れたわけでもなくて。
待つと決めるほど、
信じきれているわけでもない。
だから、
気づくと彼の歩幅に合わせて、
自分の足を止めてしまう。
そのあいだに過ぎたのは、
たった数日のはずなのに。
同じ場所に立ち続けている感覚だけが、
少しずつ、
夜を怖くしていくんだよね。
決められないまま抱えて苦しい昼
ここでね、
「決められない私ってだめだ」
って責めたくなるけど、
今日は責めないよ。
言い訳みたいに
聞こえてもいいから、
理由を並べよう。
ちゃんと意味があるからね。
決められないのは、
怠けてるからじゃない。
むしろ、ちゃんと考えてるから
止まってることがある。
だって、結婚って言葉ひとつでも、
背中に乗るものが大きいでしょう。
もし別れたら、
心が空っぽになるかもしれない。
もし待ったら、
また先延ばしになって、
自分が消耗するかもしれない。
どっちも怖い。
だから、心が踏ん張って動けない。
それにね、
あなたが助手席に座ってしまうのは、
やさしさがあるからだと思うんだ。
彼を困らせたくない。
空気を壊したくない。
嫌われたくない。
そういう気持ちが先に立つと、
ハンドルを渡してしまう。
「私の希望」より
「相手の都合」が優先になって、
気づいたら自分の人生なのに、
誰かの判断で曲がっていく。
でもね、それを“弱さ”って片づけないで。
いまのあなたは、
壊れないように守ってるだけ。
守り方が「動かない」
になっているだけなんだ。
占いに頼りたくて怖い心が揺れる

それでね、
こういう夜に浮かんでくるのが
「占い」なんだと思う。
未来を当ててほしいとか、
代わりに決めてほしい、
というより——
自分の中がごちゃごちゃで、
どこから触ればいいのか
分からなくなってしまって、
誰かの言葉を借りて
形を見たいだけなんだよね。
占いを
「決断の代行」にしてしまうと、
かえって苦しくなる。
当たっても、外れても、
あなたの心だけが
置き去りになるから。
「こうしなさい」という言葉に
そのまま従った瞬間、
また助手席に座ってしまう。
じゃあ、
占いをどう扱えばいいのか。
わたしはね、
占いは“ハンドルを奪うもの”じゃなくて、
フロントガラスの曇りを
そっと拭く時間だと思ってる。
道を選ぶのは、
あなたの手のまま。
ただ、目の前が見えなくなるほど
心が乾いているときに、
「いま何が一番つらい?」
その順番を
いっしょに整えてくれる。
それから、ここで一つだけ、
立ち止まる形を作ってもいい。
答えを出すためじゃなくて、
いまの気持ちを
そのまま置いておく席を
用意する、という感じ。
たとえば——
「今月いっぱいは、
“結婚の話を一度だけ切り出す”」
「それでも話が進まなければ、
来月の満月の日までに、
“待つか、少し距離を考えるか”の
材料を集めてみる」
こんなふうにね。
決めるんじゃなくて、
決めない時間に枠をつける。
その時間に終わりが見えると、
心は少し落ち着く。
だって、
「ずっとこのまま」
じゃなくなるから。
占いを使うなら、
その区切った時間の中で、
当ててもらうためじゃなくて、
あなたの迷いの中心を
言葉にするために使ってほしい。
「私は、本当は何が怖いんだろう?」
「私は、何を守ろうとして
足を止めているんだろう?」
そこが少し見えてくると、
助手席に沈んでいた体が、
ほんの少しだけ
起き上がるんだ。
決めない自分も選んで優しく終わる
最後にね、結論をふたつ並べるよ。
矛盾して見えるけど、
どっちも否定しない。
ひとつ目の結論。
あなたが「まだ決めない」
を選ぶのは、立派な選択だよ。
決めないことは、逃げじゃない。
あなたが今の心で
壊れないために選んだ、
ちゃんとした守り方なんだ。
だから、「決めてない私」
を低く見ないでいい。
ふたつ目の結論。
それでも、あなたの手は
少しずつハンドルに戻せる。
大きな決断じゃなくていい。
期限を決めて、
その間に“自分の本音を
一個だけ確かめる”。
彼の気持ちじゃなくて、
世間の正しさじゃなくて、
あなたの喉の奥が苦しくなる
ポイントを見つける。
そこを見つけたら、
助手席のままでも、
体は前を向ける。
月が一巡して戻ってくるみたいに、
不安も何度も戻ってくる。
でもね、戻ってくるたびに、
あなたは少しずつ
「自分の席」に近づける。
あなたの迷いにも、
ちゃんと居場所があっていいんだよ。

