気持ちはあるのに、具体化できない理由

レモンの入った冷たい水のグラスを、濡れた手でそっと置く瞬間の水彩風イラスト
目次

同じ後悔が戻ってきて、胸が乾く夜

気づくとね、
他人の近況が、
少し遠く感じる日がありませんか。

SNSを開くと、結婚の報告、
同棲を始めた写真、
赤ちゃんの小さな手。
「おめでとう」って思ってるのに、
指が止まる。

画面の向こうが明るいほど、
こっちの部屋だけ、
少し薄暗く見えてくる。

それでね、
ふと浮かぶんだよ。
「もしあの時、別の選択をしていたら」って。

続けなかった恋。
断ってしまった誘い。
勇気が出なかった、あの一言。
あのとき、
もう少し踏み出していたら、
今ごろ誰と笑っていたんだろう、って。

答えなんて出ないのに、
心だけが何度もそこへ戻る。
そして戻るたびに、
今の自分を、
ほんの少し否定してしまう。
「私は間違えたのかな」って。

未来に目を向ける力が、
静かに、削られていくみたいに。

そこにね、
もっと具体的な迷いも混ざってくる。

たとえば、
誰かを好きになる気持ちはあるのに、
次の一歩が決められないこと。

連絡したい気持ちはある。
会いたいとも思ってる。
でも、
関係を進める言葉が出てこない。

送信ボタンの手前で、
指が止まる。
だってね、
もしまた選び間違えたら、
って思ってしまうから。

「次こそ大事にしたい」
その気持ちが強いほど、
「また後悔するのが怖い」
って、
心のどこかがささやくんだよね。

今日はね、
無理に元気づけないよ。

言葉は足さない。

変わりたいのに形にならず苦しい

動けないのは、怠けているからじゃない。
むしろ、ちゃんと考えようとしているから止まるんだよ。

後悔ってね、強いんだ。
「別の道」を想像すると、
そこだけが光って見える。
でもそれは、実際に歩いた道じゃない。

痛いところが少ない場面
だけを切り取って、
心が勝手に作る“きれいな映画”
みたいなものなんだ。

その映画と比べると、
今の生活が急に色あせて見える。
そうすると、未来も色あせて見える。
「どうせ私が選ぶと、また間違える」
って気持ちが出てきて、
次の一歩が小さくなる。

それにね、「具体化」って、
ほんとは少し怖い。
具体的にすると、責任が生まれる。
選んだら、外れるかもしれない。
外れたら、「やっぱり私だ」って思うかもしれない。
だから心は、形にする直前で止めてしまう。
あなたを守るために。

ここで大事なのは、
「選べない=ダメ」って決めつけないこと。
選べない時期は、
心が乾いている時期でもあるからね。
乾いている時は、強い言葉が刺さりやすい。
自分の言葉でも刺さる。
だから余計に、動けなくなる。

ねえ、思い出してみて。
他人の近況が遠く感じる日は、
あなたの心が置いていかれた日じゃない。
ただ、少し休みたがっている日なんだ。
追いつこうとして走るより、
立ち止まって息を整えたほうがいい夜ってある。

答えが欲しくて、占いに揺れてしまう夜

海に上りかける朝日を前に、デッキの手すりにもたれて静かに水平線を見つめる女性の水彩風イラスト

こんなとき、
占いに手が伸びるの、自然だよ。

「この人でいいのかな」
「進んだほうがいいのかな」って、
誰かに言ってほしくなる。

もう自分で選ぶのが怖いから。
もし間違えたら、
また同じ後悔をする気がして。

でもね、
占いを
“決めてもらう場所”
にしてしまうと、
心はもっと疲れやすくなる。

当たるか外れるかの前に、
あなたの胸が、
ぎゅっと縮こまったままに
なってしまうんだ。

占いって、本当はね、
未来を断言するためだけのものじゃない。

「今の自分が、
どんな気持ちの中に立っているか」
そこを、
そっと照らす灯りみたいに
使うこともできる。

たとえば、
占い師さんに、
こんなふうに話してもいい。

「もしあの時、
別の選択をしていたらって、
ずっと考えてしまうんです」

「今の自分が、
間違っている気がして」

「誰かを好きになる気持ちはあるのに、
関係を進めるのが怖いんです」って。

答えをもらうためじゃなくて、
“自分の中にある言葉”
を拾い集めるためにね。

その言葉が集まると、
後悔は、
少しだけ形を変える。

責める刃じゃなくて、
記録みたいになる。

ここで、
ひとつだけ小さなやり方を伝えるね。

正解探しは、しない。
ただ
「あの日の自分」を
メモにしてみる。

たとえば、
こんな短い言葉でいい。

「あの日、私は怖かった」
「拒まれるのが怖かった」
「大切にしたかった」
「本当は、
一緒にいきたいって言いたかった」

これはね、
未来を変える魔法じゃない。

でも、
時間が味方になりやすい
書き方なんだ。

“あの日の自分”が、
責められる存在じゃなくなるから。
守ろうとしていた子として、
そこに残るから。

そして、不思議だけど、
責める声が小さくなると、
未来を見る目が、
ほんの少し戻ってくる。

大きな決断じゃなくていい。
「今日の自分が、
何に怯えているか」
それだけが、
見えるようになる。

答えを掴まず触れただけで終える

今日はね、結論を完成させなくていい。
書きかけのまま出していい日もある。

きれいにまとめると、
心が置いていかれることがあるから。

もし今、胸の中に
「別の道だったら」って声が出ているなら、
それを無理に消さないで。
ただ、紙の上に置いてみる。
メモの一行でいい。
短く、乾いたままの言葉でいい。

そして、ここだけ覚えておいて。
今日は、答えに触れただけ。
それ以上、掴まなくていい。

触れただけの日が増えるとね、
いつか、後悔は“記録”に変わっていく。
責めるための材料じゃなくて、
あなたがここまで生きてきた足あとみたいに。

……ねえ、もし今夜、
少しだけ息がしやすくなったなら、
それで十分だよ。
次の一歩は、まだ書かなくていい。
書きかけのまま、ページを閉じても──

目次