気づけば誰かの判断に乗って生きていた

ノートパソコンのキーボードにそっと指を置き、静かに文章を打っている手元と、横に置かれたマグカップ

お月さまってね、
ひと晩で大きくは変わらないのに、
気づいたら、
まるっと一巡して、
また同じ形で戻ってくるでしょう。

カレンダーもそう。
一枚めくって、
また一枚めくって。

何かが劇的に起きた
わけじゃないのに、
「え、もう今月も終わるの?」って、
急に足元がぐらっとする夜がある。

部屋の空気は昨日と似てる。
同じマグカップ、
同じ照明、
同じスマホの光。

なのに心の中だけが、
置き去りみたいに乾いてる。

ひと月前も、
同じことで迷ってた気がする。
そして今日も、
同じところに立ってる気がする。

前に進めてないことが
苦しいんじゃなくて、
進めてないまま、
時間だけがちゃんと
進んでいくのが、
じわっと苦しい。

そんな夜に、
ふっと触れてしまうんだよね。
「わたしの人生なのに、
助手席にいるみたい」っていう、
あの感じに。

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人生が他人任せで息が詰まる夜に

たとえばね。

最近、彼からの連絡が前より減った。
既読になるまでが
長い日が増えて、
会う予定も
「また今度ね」で流れていく。

このまま付き合うのか、
距離を置くのか、
自分の気持ちを聞かれたら
答えたいのに、答えが出ない。

だけど不思議なことに、
「じゃあ別れる!」
とも言ってないし、
「ちゃんと話し合おう!」
とも言えてない。

そのまま、日々が過ぎる。

気づくと、誰かのペースに乗ってる。

彼の返信の速度とか、
友達の結婚報告とか、
親の「そろそろ落ち着いたら?」とか。

自分で運転してるつもりなのに、
いつの間にか、
助手席で窓の外を見てるみたいで。
ハンドルを握ってない自分が、
ちょっと怖くなる。

でもね。
ここで大事なのは、
「怠けてるから」じゃないってこと。

決められないときって、
心がサボってるんじゃなくて、
心が守ってることが多い。

決めた瞬間に起きる痛みを、
ちゃんと知ってるから。
決めたら戻れない感じがして、
体のどこかが、
きゅっと固くなるから。

それってね、弱さというより、
ちゃんと心が生きているってこと。

決められないまま頭が散らかる夜が苦しい

迷いって、ひとつに見えるけど、
中身はごちゃごちゃに
混ざってることが多いんだ。

だから、今日は分けよう。
大きい迷いを、小さく切る。

「今日の迷いはここだけ」って、
箱をひとつだけ置くみたいに。

たとえば、今の迷いを三つに分けてみる。

彼を好きかどうか。
この関係を続けたいかどうか。
自分が傷つくのが怖いかどうか。

……ね、もうこの時点で、
少し空気が変わるでしょう。

「全部が一気に重い」から、
「いま触ってるのはこれ」になる。

さらに、もう一段だけ小さくしてみる。

今日いちばん苦しいのは、
「好きかどうか」じゃなくて、
「連絡が減った理由が
わからない不安」かもしれない。

あるいは、
「会う約束が決まらないことが
寂しい」かもしれない。

ここまで小さくできたら、
頭の散らかり方がちょっと整う。

決めるためじゃなくていい。
片づけるために分けるんだよ。

迷いが大きいままだと、
心はずっと力を入れっぱなしになる。

だから、今日はこれだけ。
「連絡が減ったのが寂しい」
その一点だけを、机の上にそっと置く。

それだけで、十分なんだ。

占いに頼るのが怖くて揺れる夜

ひまわり畑の中で、帽子をかぶった女性が背中を向けて立ち、朝の光に包まれている風景

こういう夜ってね、
検索窓に「占い」って
打ちたくなることがある。

でも同時に、怖いんだよね。
もし悪い結果が出たらどうしようって。

ここで、ひとつだけ見方を変えるよ。
占いを「未来を決めるもの」にしない。

未来の判定じゃなくて、
いまの心を照らすライトみたいに扱う。

暗い部屋で、
どこに何が散らかってるか見えないとき、

いきなり模様替えなんて
できないでしょう。
まずは小さな明かりで、
床の上を照らす。

「わたしは今、寂しさを抱えてる」

「わたしは今、見捨てられるのが怖い」

「わたしは今、
相手の反応に振り回されて疲れてる」

そういう“いま”を言葉にするための、灯り。

占いでも、相談でも、日記でもいい。
大事なのは、
誰かに決めてもらうことじゃなくて、
自分の中で何が起きてるかが、
少し見えること。

見えるとね、
助手席の窓が少しだけ曇りにくくなるんだ。

運転席に戻るための、
派手じゃない一手。
そんなふうに置いてみてもいい。

決めなかった私をそっと肯定する夜になる

そして最後にね、
今日の結論だけ、そえるよ。

決めなかった自分を、
低く見積もらなくていい。

「決めないでいる」って、
何もしないことじゃないんだ。

いまの自分にとって、
急いで決めるのが
危ないってわかってるから、
いったん保留にしてる。

それは、立派な選び方だよ。

決めないことで、守れたものがある。
壊さずに済んだ心がある。
取り返しのつかない言葉を、
飲み込めた夜がある。

月が一巡して戻ってきたみたいに、
また同じ迷いが胸に来ることはある。

でもね、同じじゃない。
今日のあなたは、
迷いを小さく分けられた。

「今日の迷いはここだけ」って言えた。

それだけで、助手席のままでも、
ちゃんと自分の手で
シートベルトを締め直したみたいなものなんだ。

明日、答えを出さなくてもいい。
ただ今夜は、
決めなかったあなたを、
“選び続けたあなた”として、
そっと扱ってあげてね。

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